●連邦保安庁(FSB)によるタクシー乗客の把握が可能に
●運輸省は法改正でギグエコノミーの取締りを強化したいもよう
ロシア運輸省が、タクシー・配車サービス事業者に対して連邦保安庁(FSB)へのデータ提供を義務付けるタクシー法改定案を策定した。現地経済紙『RBC』によると、多くの省庁が同意しており、近く下院に提出される方向だ。下院を通過すると上院に送られ、上院でも可決されるとプーチン大統領の署名を以って新法が発効する。
改定法案によると、「タクシー業者はFSBに対し、政府の定める範囲で予約の受付・保存・処理・転送に用いられる情報システム及びデータベースに自動的なリモートアクセスを提供」しなければならなくなる。タクシー・配車サービス業界団体のイリーナ・ザリポヴァ代表は、法案からはどのようなデータを指しているのかわからないと指摘している。なぜ情報提供が必要なのかも不明だ。
法案にはこのほか、◇最低料金の導入◇各地域で営業するタクシー総数の制限◇配車事業者に対し営業地域での事務所設置を義務付け◇自営タクシー業者に事業登録を義務付け――などが含まれる。
ロシアでは、欧米による制裁による景気悪化で失職した人がタクシードライバーになろうとする例が増えると予想される。ただ、激しい市場競争や低料金、配車アプリの登場・進化を背景に、タクシー市場はここ10年で急激に拡大した。ロシア運輸省は法改正で同業界におけるギグエコノミー(インターネットプラットフォーム経由で単発・短期の仕事を請ける働き方)の取締りを強化したいもようだ。
法案には運輸監視局(ロストランスナゾル)、財務省、法務省、労働省、経済開発省、保健省、通商産業省、国税局が同意しているという。