●AIが電子メールをスキャンし、自分のデータの記録箇所を検出
●「ボタン一つで」消去を要請、但し必ず消えるかは分からず
イスラエルのスタートアップ企業マイン(Mine)が、デジタル社会の「忘れられる権利」を行使できるソリューションを実用化した。自分のデータが記録されている場所をみつけ、ボタンひとつで消去を要請できる仕組みだ。これまでに世界で100万人が利用し、データ消去要請件数は1,000万件を超えたという。
マインは、イスラエル軍のサイバーセキュリティ部門で働いていた3人が起業した。人工知能(AI)が電子メールの件名をスキャンして分析し、どの企業・機関に個人データが保存されているかを示す。ユーザーは、消したいデータがあれば、マインの電子メールテンプレートを用いて「ボタンひとつで」消去を要請できるという。
ただ、その効果については未知数だ。というのも、追跡できるのはメールが残っているケースに限られ、その上、要請すれば必ずデータが消えるかどうか、わからないためだ。
また、イスラエル技術政策研究所のオメル・テネ弁護士は、「ブロックチェーンや金融取引など、法的に消去が禁じられるデータは消せない。消しても構わないデータも、匿名化の度合いはさまざまで、どこまでユーザーが個人データを管理できるか、難しい側面がある」と指摘している。