●免除は全品目が対象、輸入の数量制限も撤廃
●軍事侵攻で大きな打撃を受けたウクライナ経済の下支えが狙い
欧州委員会は4月27日、欧州連合(EU)がウクライナからの輸入品への関税を免除することを提案した。ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナに対する支援策の一環で、輸入の数量制限も撤廃する。1年間にわたって実施する方針だ。
関税免除は全品目が対象。2016年に発効したEUとウクライナの自由貿易協定(FTA)に基づき22年末までに関税が撤廃されることになっている肥料、アルミニウム製品、自動車などの工業製品が含まれる。輸入に数量制限がある農産物も無制限、非関税で輸出できるようになる。
さらに、欧州委はセーフガード(緊急輸入制限)の対象からウクライナ産の鉄鋼製品を除外することや、一部の同国産の鉄鋼製品に発動している反ダンピング(不当廉売)措置の解除も提案した。
欧州委の提案は、軍事侵攻で大きな打撃を受けたウクライナ経済の下支えが狙い。フォンデアライエン委員長がゼレンスキー大統領と協議して決めた。EU加盟国と欧州議会の承認を経て実施する。欧州委は声明で、戦禍に見舞われている国への支援としては「異例」の措置としている。
欧州では英国が25日、ウクライナへの同様の支援措置を実施すると発表していた。