●サウジの公的機関がイスラエル企業に直接投資する初の事例
●トランプ前米大統領の娘婿クシュナー氏の投資会社を通じ
トランプ前米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏が昨年末に設立した投資会社アフィニティ・パートナーズを通じて、サウジアラビア政府系の公的投資基金(PIF)がイスラエルのテック企業に投資する。サウジアラビアの公的機関がイスラエル企業に直接投資するのは今回が初めて。投資対象として、すでに2社が選ばれたという。
クシュナー氏はトランプ前大統領の在任期間に大統領上級顧問を務めた。特に、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、スーダン、モロッコとの国交正常化(アブラハム合意)に力を入れた。
サウジ側はクシュナー氏および米国共和党のはからいで◇米国との関係緊密化◇米国からの兵器輸入◇反体制のカショギ記者殺害事件やイエメン内戦への介入をめぐる米国の対サウジ制裁を防止――を達成した。サウジの事実上の統治者であるビンサルマン皇太子がPIFの首脳の反対を押し切って、アフィニティに20億ドルの運用を任せたのはその「謝礼」とみられている。
一方で、サウジが今回、公にイスラエル企業に投資することは、同国がイスラエルとのビジネスを望んでいるサインと受け止められている。今後も同じ方向に進んでいけば、外交関係の樹立が実現する可能性もある。