●通貨安の影響にウクライナ戦争が拍車
●自動車燃料含む運輸は105.8%拡大
トルコ統計局(TUIK)が5日発表した4月の消費者物価指数(CPI)の上げ幅は前年同月比で69.97%となり、前月の同61.1%から一段と拡大した。これは2002年2月(73.1%)以来の高い水準。通貨リラ安に伴う輸入品価格の上昇に加え、ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー価格の高騰が拍車をかけている。インフレ率の上昇は11カ月連続で、昨年5月からの上げ幅の合計は53.3ポイントに達する。
上昇率を分野別にみると、「運輸(自動車燃料含む)」で前月の99.1%から105.8%に拡大したほか、構成比重の最も大きい「食品・非アルコール飲料」で18.8ポイント増の89.1%、「住居費・公益料金」で9.7ポイント増の61.1%となり、全体が強く押し上げられた。上げ幅は最も低い「通信」でも18.7%に上る。
同国の中央銀行は昨年9月を皮切りに4会合連続の利下げを行い、政策金利を計5ポイント減の14%まで引き下げた。経済成長と輸出増加を優先するエルドアン大統領の方針に沿ったものだが、リラは対米ドルで44%下落し、物価の持続的な高騰を引き起こしている。
中銀は先ごろ、インフレ率が6月に約70%のピークに達した後、年末にかけて43%まで下がり、2024年末には一桁台に落ち着くとの予測を示した。また、エルドアン大統領は4月末の記者会見で、インフレは5月から鈍化を始め、年末には「より好ましい方向」に向かうと述べた。