ポーランドPGNiG、米LNG企業と長期調達契約

●天然ガスの年間消費量の20%相当の300万立方メートルを調達

●同国はエネルギーの脱ロシア依存を目的に調達先多角化を推進

ポーランド国営ガス石油大手PGNiGは16日、米国のセンプラ・インフラストラクチャーとの間で液化天然ガス(LNG)の長期調達契約を結んだと発表した。契約期間は20年。センプラは同国の天然ガスの年間消費量の20%に相当する300万立方メートルを供給する。供給開始は2027年となる見通し。

PGNiGは、拡張が予定されている米ルイジアナ州のキャメロンLNGターミナルから200万トン、テキサス州のポート・アーサーLNGターミナルから100万トンの供給を受ける。気化処理後の年間供給量は計40億立方メートルとなる。

PGNiGのワクスムンズカ・オレイニチャク社長は、LNGはポーランドのエネルギー安全保障向上に向けた多角化戦略の一環だと話した。

同国では天然ガスパイプライン運営会社ガスシステム(Gaz System)がバルト海の港湾都市グダニスクに洋上気化ターミナルの設置を計画するなど、ガスの供給インフラの整備が進められている。「グダニスク湾LNGターミナル」の年間処理能力は60億立方メートル(気化後)。すでにガスシステムは利用企業の意向を調査するオープンシーズン手続きを完了しており、PGNiGも利用する予定だ。

PGNiGはこれまでも米国のLNG生産事業者と計700万トン(気化後90億立方メートル)の長期契約を結んでおり、米国からのLNG供給は2023年以降大幅に増加する。同社は国内北西部シフィノウィシチェのターミナルに62億立方メートルの処理能力を確保しているが、24年以降は83億立方メートルまで拡張される。このほかリトアニアの港湾都市クライペダのターミナルを予約しており、今月中に稼働するポーランド・リトアニア・ガスパイプラインを通してガスを供給する予定だ。

キャメロンLNGターミナルの気化施設は2019年に稼働を開始した。現在の年間生産量は1,200万トン。同ターミナルの権益を持つセンプラ・インフラストラクチャーは処理能力を1,900万トンまで拡張することを計画している。新たに計画されているポート・アーサーLNGターミナルの年間処理能力は当初1,350万トンとなる見通し。

ポーランドはエネルギーのロシア依存度の引き下げを目的として調達先の多角化を進めている。米国産LNGの調達は2017年に開始し、今月初めには同国のベンチャーグローバルLNGから6万5,000トンを輸入した。

ロシアは今年4月、ルーブルでの支払いを拒否した同国への天然ガスの供給を停止した。

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