●戦争やエネルギー危機など複数のリスクが重なり、成長減速へ
●各国中銀はインフレ抑制と経済成長の両立を求められる
2022年1-3月期に市場予想を上回る堅調な成長をみせた中東欧諸国の経済だが、インフレ加速とウクライナ戦争の影響で今年後半に成長が鈍化する観測が広まっている。現時点では急速な景気後退はなさそうだが、国際サプライチェーンの停滞、ウクライナ戦争とそれに伴うエネルギー危機の可能性など複数のリスクが重なり、成長減速につながりそうだ。ロイター通信が17日報じた。
ハンガリーの1-3月期国内総生産(GDP)は前年同期比8.2%増で、アナリスト予測の6.9%を大きく上回った。ポーランドも7.9%の予測を上回る8.5%に増加した。サンタンデルバンク・ポーランドの主任エコノミスト、ビールスキー氏は、今年後半に著しく景気が減速するものの通年では4%超を維持すると見ている。
ルーマニアのGDPも6.5%増と堅調に伸びたが、地元BCRバンクの主任エコノミスト、ダスカル氏は、4-6月期(第2四半期)はサプライチェーン問題の影響が顕在化すると予測している。チェコは4.6%増、スロバキアは3.1%増、ブルガリアは4.5%増だった。
中東欧ではインフレ率が数10年来の最高水準となる中、中央銀行が相次いで利上げを行ったが、景気の過熱を背景とした賃金上昇やエネルギー価格高騰によりインフレ圧力を抑制できていない。政策金利引き上げが経済成長にブレーキをかけないよう、中銀には細心な手腕が求められている。