トルコの5月インフレ率73%、食品価格は92%上昇

●自動車燃料含む「運輸」は107.6%に拡大

●アナリストは第3四半期に80%超えの予想

トルコ統計局(TUIK)が3日発表した5月の消費者物価指数(CPI)の上げ幅は前年同月比で73.50%となり、前月の同69.97%から一段と拡大した。これは1998年10月(76.6%)以来の高い水準。通貨リラ安が食料やエネルギーなどの輸入品価格の上昇を加速させている。インフレ率の上昇は12カ月連続で、昨年5月からの上げ幅の合計は56.8ポイントに達する。

上昇率を分野別にみると、「運輸(自動車燃料含む)」で前月の105.8%から107.6%に拡大したほか、構成比重の最も大きい「食品・非アルコール飲料」で2.5ポイント増の91.6%、「住居費・公益料金」で2.4ポイント増の63.5%となり、全体が強く押し上げられた。上げ幅は最も低い「通信」でも19.8%に上る。

同国の中央銀行は高インフレにもかかわらず利上げを見合わせている。通貨安を利用して輸出を増やし、貿易赤字を解消することでインフレを退治できるとするエルドアン大統領の方針に沿ったものだが、リラは対米ドルで44%下落し、ドル払いの輸入エネルギー価格の持続的な高騰を招いている。

三菱 UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG)で欧州・中東・アフリカの新興市場調査を担当するイーサン・コーマン氏は、「(高インフレ下で低金利を維持する)異端的な政策に拘ってもインフレの課題が解決する可能性は低く、第3四半期(7-9月期)には前年同月比で80%を超えるだろう」との予想を示した。

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