米IBMがロシアから完全撤退、グループ業績への影響は軽微

●段階的に事業を縮小、現地従業員の解雇も開始

●同社の第1四半期決算は前年同期比8%の増収

米IBMがロシア事業を閉鎖する。西側諸国の対ロシア制裁が理由で、現地従業員の解雇も始めた。アーヴィント・クリシュナ最高経営責任者(CEO)が従業員に送った通知をロイター通信が7日に入手して報じた。IBMのロシアHPもすでに消去されている。

IBMはロシアのウクライナ侵攻を受けて3月にロシアでの業務を停止した。クリシュナCEOは通知のなかで、戦争に起因する問題が増加し、複雑化するという懸念が強まっていることを踏まえ、事業を段階的に縮小することを決定したと説明した。IBM広報担当者によると、現地従業員の数は数百人規模という。

IBMの1-3月期(第1四半期)決算は、ロシア売上が3億米ドル減ったものの、ソフト、コンサルティングの両事業が2ケタ成長し、全体としては前年同期比で8%の増収を記録した。このため、ロシアからの完全撤退がグループ全体に響く可能性は小さい。

ロシア事業の中止によって、テクノロジー企業の多くで決算に影響が出そうだ。先ごろ完全撤退を発表したヒューレット・パッカード(HP)は、ロシアの年間売上規模が10億ドルに上ると発表している。アドビは今年、ロシア減収分として7億5,000万ドル、RPAツールのユーアイパス(UiPath)も1,500万ドルを予想。シスコも先月、第3四半期(2-4月)の売上高が約2億ドル押し下げられたと発表している。

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