格付け大手のフィッチ、トルコを格下げ

●投資適格級より5段階下の評価となる「B」に

●同国の今後の物価上昇の動きを読むのは依然として困難

米格付け大手のフィッチ・レーティングスは8日、トルコの信用格付けを1段階引き下げ、「B」とした。見通しは「弱含み」。2月の格下げに続くもので、「B」は投資適格級より5段階下の評価となる。

フィッチはトルコの今年の平均インフレ率(前年同月比)を71%と予測する。インフレ期待値の上昇や、さらなるリラ安といったリスクが拡大し、今後の物価上昇の動きを読むのは依然として困難だ。同国では来年6月に選挙が実施される予定だが、フィッチはこの選挙が終わるまでは金融緩和のスタンスは変わらないと予想する。

金融機関に対する預金者の信用が低下したり、銀行・企業による外国からの資金調達が難しくなったりすれば、国の外貨準備高に圧力がかかるリスクもある。市中銀行の保有する外貨資産の多くが中央銀行に預けられているためだ。

フィッチは先週発表したリポートで、トルコの保険会社が過去10年で最も厳しい状況に直面していると指摘。今年と来年は利益・自己資本比率が激減するリスクがあるとみている。経済減速、インフレ高進、自賠責保険(MTPL)保険料の上限額の存在で、法定自己資本比率が満たせず、増資あるいは身売りを迫られる保険会社も出てきかねない。

トルコのインフレ率は5月に73.5%、6月に78.6%を記録した。フィッチでは、今後も高水準で推移し、今年末に60%、来年末には55%となると予測している。

他の大手格付け会社でもトルコの格付けは低い。ムーディーズは「B2/弱含み」、スダンダード・アンド・プアーズ(S&P)は「Bプラス/弱含み」で、それぞれ投資適格級の5段階、4段階下に位置する。

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