ブルガリアのデヴニャ・セメント、CCUSプロジェクトでEU助成獲得

●助成額1.9億ユーロ、地域のCCUSクラスター形成に期待

●ANRAV-CCUSは回収したCO2を黒海の枯渇ガス田に永久貯蔵する

独ハイデルベルク・セメントのブルガリア子会社であるデヴニャ・セメント(Devnya Cement)が、二酸化炭素(CO2)回収・貯留プロジェクト(ANRAV-CCUS)の実施に伴い、欧州連合(EU)から1億9,000万ユーロのイノベーション助成を受けることが決まった。EUが進めるCO2排出削減の取り組みの一環で、欧州委員会では、今回のプロジェクトが国内だけでなく、隣国ルーマニア、ギリシャを含む地域のCCUSクラスターに成長するきっかけになりうると期待している。

ANRAV-CCUSは、ブルガリア北東部のデヴニャ工場で回収したCO2をパイプラインで輸送し、黒海の枯渇ガス田に永久貯蔵するものだ。南東欧地域が2030年の環境目標を達成する一つのカギになるとみられている。デヴニャ・セメントがアイルランドの石油・天然ガス探鉱・開発企業ペトロセルティックのブルガリア子会社と提携して進める。

プロジェクト総額は明らかにされていないが、デヴニャ・セメントの発表によると、ブルガリアにおける過去数年の設備投資として最大規模になる見通しだ。

EUはANRAV-CCUSを含むクリーンテック・プロジェクト17件について、総額19億ユーロを助成する。セメント、化学、水素、燃料精製といったエネルギー消費の大きい分野が対象だ。財源はCO2排出権取引システム(ETS)からの収入で、現行の排出権価格をもとに計算すると、2030年のETS収入は380億ユーロに拡大すると予想されている。

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