●撤退による特別損失は約1億9,000万ユーロに上る見通し
●北欧の大手企業も相次ぎロシア事業を見直し
スウェーデン衣料品大手のへネス・アンド・マウリッツ(H&M)は18日、ロシア撤退に向けた手続きを開始すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受けて3月2日に営業を停止していたが、現状では事業継続は無理と判断した。撤退による特別損失は約20億スウェーデンクローナ(1億9,000万ユーロ)に上る見通し。第3四半期(6-8月期)に計上する。
H&Mは2009年にロシアへ進出。同国従業員数はおよそ6,000人に上る。撤退にあたり、在庫処分のため、期間を限定し実店舗を開店する。
H&Mは今年1月、新型コロナ流行が下火になるという観測のもと、大幅な事業成長目標を発表。オンライン販売強化や新市場参入に資金を投下し、2030年までに売上高を21年の2倍に引き上げる方針を示した。
今年第2四半期(3-5月期)は、ロシア、ウクライナ、ベラルーシでの販売停止にもかかわらず、グループ売上が17%増の545億クローナに増加した。
ロシア・ウクライナ戦争の開戦以来、北欧の大手企業にもロシア事業を見直す動きが広がっている。電気通信設備のエリクソンは4月に全ロシア事業を停止、ボルボ・トラックはロシア販売とカルーガ工場の操業をストップした。家具大手のイケアは3月初めにロシア事業を停止。先月にはロシア・ベラルーシ事業の「縮小」を発表した。