中欧諸国、テック産業が興隆

●中欧は人材豊富で人件費も安く、ランニングコストも低い

●起業家精神の旺盛な同地域からは国際的なテック企業が排出

中欧でテック系企業の存在感が一層高まってきた。グーグルなど世界的なIT大手が同地域に多くの拠点を置き、人材の確保を図っている。著名なIT大手が本拠を構える米カリフォルニア州では不動産価格や人件費が高騰しており、人材が豊富で賃金も安くランニングコストの低い中欧がそれらの企業の有力な移転先となっている。現地発のゲームやセキュリティ分野などにおける世界的な企業も誕生している。

世界中に利用者を持つスマートフォンやSNSの開発企業は、進出先の拠点で各地域の母国語話者を採用している。米国でポーランド語、チェコ語、スロバキア語、ハンガリー語の使い手を見つけるよりはるかに容易でコストもかからない。

中欧地域ではスマホやSNSのみならずゲーム産業も盛んだ。同分野大手のベットウェイはライブ映像によるカジノゲームを提供している。ゲームでは生身のディーラーがインターネットを通してプレイヤーの画面に登場する。ディーラーはプレイヤーに対しカメラを通してかけ金を賭けるタイミングを指示したり勝者を知らせたりと会話を行うことができる。中継が行われる賭場は中欧に置かれているが、使用言語は英語。コストがかからない上、複数言語の話者がおり通信インフラも整備されているのが同地域の特長だ。

中欧には旺盛な起業家精神があり国際的なテック系企業の創出につながっている。そうした企業の1つで、プレゼンのオンラインプラットフォームを運営するプレツィ(Prezi)はハンガリー発、セキュリティ対策ソフトのアバストとESETはチェコとスロバキア発の企業だ。ビジネス向けのCRM(顧客関係管理)ソフトウエア開発企業サジェスター(Sugester)はポーランドを本拠とする。同国はゲーム開発で急成長中だ。

こうした企業の多くが海外に製品を輸出しているほか、外国企業による同地域への投資の誘因になっている。また地域に起業家のネットワークが存在することで新たなテック系スタートアップの創出につながっている。

上部へスクロール