●ヤンデックスは検索やB2B関連技術などに事業の軸足を移す
●VKからはフードデリバリー事業を取得
ロシアのIT大手ヤンデックスは23日、同国のSNS大手VK(旧メール・ル)と一部事業の売却で合意したと発表した。ヤンデックスはニュースポータルサイトとエンターテインメントサイトの「ゼン」を売却する一方で、VKからフードデリバリー事業のデリバリー・クラブの株式100%を取得する。売却によりヤンデックスはメディア事業から検索や企業間取引(B2B)関連技術などに事業の軸足を移す方針だ。独禁法当局による承認には数カ月かかる見通し。
ヤンデックスは売却により検索、広告、オンライン・ツー・オフライン(O2O)事業、B2B技術などに事業を集中させる。それに対応してサイトのメインページを「ya.ru」に移し、検索及びEメール、非メディア関連のサービスが利用できるようにする。一方で映像ストリーミング事業は継続する予定。
同社はまた、アンドロイド向けに人工知能(AI)アシスタント「アリス」をベースとする新アプリ「ヤンデックス・ウィズ・アリス」を導入する。買収完了後にアプリの名称は「Yandex Start」に変更する予定だ。同アプリと「ya.ru」では共に同社の検索エンジンが利用できる。アプリは以前同様、アップルのアイフォンのOSでも機能するが、ニュースサイトと「ゼン」のサービスは利用できなくなる。従来のニュースサイトと「ゼン」のサイトはVKが管理する「dzen.ru」のドメインに変更される予定だ。
ヤンデックスはすでにフードデリバリーサービスの「ヤンデックス・イーツ」を提供しているが、デリバリー・クラブのブランドは維持する方針だ。両社のアプリは今後も並行して利用できる。一方デリバリー・クラブの宅配サービスの従業員はヤンデックスのプラットフォームに統合する予定だ。