露自動車最大手アフトワズ、エアバッグの調達回復

●同社は対ロ制裁の影響で海外メーカーとの取引が中断

●エアバッグはイランや中国の自動車業界から調達している模様

ロシア自動車最大手のアフトワズは24日、エアバッグ付きの低価格車「ラーダ・グランタ」の生産を再開したことを明らかにした。同社は欧米の経済制裁を受けて海外メーカーとの取引が中断し、エアバッグが調達できなくなっていた。調達先について明らかにしていないが、ロシアが急接近しているイランや中国の自動車業界の可能性がある。

アフトワズはウクライナ戦争開始後に部品の輸入が止まったため、エアバッグを搭載していない車両を生産してきた。月間の生産台数は6月で3,000台余りと従来の10万台から大きく減少している。その後生産は若干回復したが、通常の10%程度にとどまっているのが現状だ。同国の調査会社「autostat info」によると、同社は戦争開始後に新車販売台数を大きく減らした他、中古車両の販売台数も前年比で18%近く減少した。

「ラーダ・グランタ」と最新モデルの「ラーダ・ニバ・レジェンド」には現在、多くの標準装備品が搭載されていない。一方で昨年9月から半導体不足のため搭載されていなかった緊急時警報システムなど安全性に関わる装備は再び搭載されるようになっている。

アフトワズは以前、2023年からアンチロックブレーキシステム(ABS)を装備した車両の生産を開始する方針を示していた。その後は横滑り防止装置(ESP)も導入する予定だ。ロシアの自動車メーカーはこれまでの欧州に代えてイランや中国の自動車関連メーカーからの部品の輸入を進めている。

ロシアの欧州ビジネス連盟(AEB)によると、ウクライナ戦争の開始後、新車販売は大きく落ち込んでおり、6月の販売台数は前年同月比82%減の2万7,761台に後退した。7月はやや回復し3万4,412台を販売したが、依然として前年同月を70%以上下回っている。1ー6月期の販売台数は37万228台で、前年同期から58%減少した。

一方7月の中古車販売台数は前年同月比で5分の1減少した。1-6月期の中古車販売台数47万8,044台のうち、ロシアメーカーの車両は29%を占めた。7月の販売台数は、外国車は18.6%、ロシア車は15.2%減少した。

中古車販売市場の4分の1は依然としてアフトワズの車両が占めているものの、「ラーダ」の販売は減少している。トヨタは同国の中古車市場2位に位置しているが、アフトワズの販売台数の半分に満たない。トヨタの1-7月期の販売台数は30万2,227台で、前年同期から17%減少した。同市場3位の韓国起亜自動車の販売台数はほぼ半減している。

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