●パイプラインを最小限改造するだけで水素輸送が可能
●水素の混合率を段階的に20%以上に引き上げる
スロバキア北部のブラトナー・ナド・オストロヴォムで、既存のガスパイプラインを使った水素輸送試験プロジェクトが成果を出している。プロジェクトを実施する地元ガス供給会社、SPP-Dのホルリー社長によると、パイプラインを最小限改造するだけで安全かつ効果的に水素を輸送できるため、新たに輸送インフラを設ける必要がないと強調した。
水素を天然ガスに混合して行う輸送プロジェクトは7月に開始し、9月まで実施される。これまでに地元住民からの苦情はなく、リスクが懸念される古いボイラーや窯への影響もなかった。天然ガスとの混合も均質でパイプからの水素漏れもないという。
今回の実験で良好な結果が出れば、国内の水素利用への追い風となり、スロバキアが中東欧で主導的な役割を果たせるとSPP-Dは期待している。同社は成果を踏まえて、水素の混合率を2025年まで5%、30年まで10%、それ以降は20%以上に引き上げる考えだ。
欧州委員会はロシア産天然ガスへの依存度を下げるため、再生可能エネルギーで生産したグリーン水素の採用を奨励している。スロバキアもEU方針に沿い、多様な分野での水素の生産と利用に関わる投資に対し総額10億ユーロを助成する計画だ。