●培養肉企業の数は米国に次ぐ世界2位
●フードテック分野の新興企業に対する投資額は2.6倍へ急増
イスラエルが、培養による代替肉・乳製品・シーフードの主要生産国になりつつある。培養肉企業の数は米国に次ぐ世界2位、代替タンパク質業界の投資者数では世界3位を占める。
イスラエルのグッドフード研究所(GFI)の最新レポートによると、フードテック分野の国内スタートアップに対する投資額は今年上半期に3億2,000万米ドルと、前年同期の2.6倍へ急増した。これは世界全体(17億5,000万ドル)の18%強に相当する。植物性食品会社に限ると1億6,100万ドルとなり、世界全体の22%を占める。また、発酵技術を応用した代替タンパク質企業は1億5,200万ドルで米国に次いで世界2位、同業界への投資総額の38%を調達した。
企業別では、微生物発酵で「アニマルフリー牛乳」を作るリミルク(Remilk)が1月に1億3,000万ドルを、3Dプリンタによる代替肉製造技術を手がけるリディファイン・ミート(Redefine Meat)が2月に1億3,500万ドルを調達した例がある。
投資家としては、食品・乳製品国内最大手のトヌバ(Tnuva)が投資に力を入れている。今年、ベンチャーキャピタル基金「トヌバ・ネクスト」を設置したほか、フードテック企業のインキュベータであるフレッシュスタートと協力関係にある。トヌバのシャイ・コーエン最高イノベーション責任者によると、グループのベンチャー投資会社トヌバ・ベンチャーズは過去18カ月で総額1,000万ドル相当を投資したという。
コーエン最高イノベーション責任者はフードテック分野におけるイスラエルの活躍の理由が、バイオテクノロジー、農業化学、医療などを含む「ハイテク・エコシステム」にあるとみる。その強さを示すように、フードテック企業は現在約340社あり、年平均42社が起業しているという。
トヌバでは今後10年以内に世界の食肉市場の15%が代替タンパク質で占められ、2032年までに代替タンパク質の世界売上高が3,000億ドルに達すると予測している。また、植物性タンパク質と発酵タンパク質をミックスした「ハイブリッド」製品も伸びるとみている。