●金融制裁で輸出入に伴う決済が難しくなっていることに対応
●同国で暗号通貨などによる国際決済実現のための動きが活発化
ロシア国営のテクノロジー企業ロステックが、デジタル資産で国際決済できるソリューションを開発している。欧米などからの金融制裁で輸出入にともなう決済が難しくなっているためだ。議会や行政府内でも、暗号通貨やステーブルコイン(価格変動を極力少なくした仮想通貨)、デジタル・ルーブルなど、デジタル資産による決済の法制化を支持する動きが広がっている。
8日に閉幕したウラジオストク東方経済フォーラムで、ロステックのアナ・シャリポヴァ取締役は、ウラジオストクに隣接するルースキー島で国際決済ソリューションの試験を実施すると明らかにした。電子取引を統制する法的枠組み案がうまく機能するかどうかを確かめるという。
金融制裁でロシアの銀行の多くが国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除されたのを機に、ロシアでは暗号通貨などデジタル資産による国際決済を実現するための動きが活発化した。6月にはロステックが、ブロックチェーン技術を用いてSWIFTに代わるシステムを開発したと発表。7月には金融監視当局ロスフィンモニタリングのユリ・チハンチン長官が、「暗号通貨は国際決済手段に適している」という見方を表明した。
8月下旬にミハイル・ミシュスチン首相は、デジタル資産をスムーズな国際決済を保証できる「安全な選択肢」と位置づけた。さらに今月に入って、アレクセイ・モイシーフ副財務相は、財務省と中央銀行が調査を踏まえて、デジタル資産による国際決済を迅速に合法化すべきとの結論で一致したと明らかにした。