ハンガリーIT大手4iG、イスラエルの衛星運営企業を買収

●昨年10月の契約内容を変更し、株式51%を2段階で取得する方向

●イスラエル防衛省は4iGとハンガリー政府の結びつきを懸念

ハンガリーのIT・通信大手4iGは9月29日、イスラエルの衛星運用企業スペース・コミュニケーション(スペースコム)の買収に向け、同社と新たな契約を結んだと発表した。イスラエル当局の方針に沿い、昨年10月の契約内容を変更する。株式51%を一括ではなく、2段階に分けて買収する方向だ。取引成立には株主の賛成とイスラエル通信省の許可が必要となる。

1年前の契約に対しては、4iGとハンガリー政府の結びつきを理由にイスラエル防衛省が懸念を表明。これを踏まえて通信省が今年8月、段階的取得を内容とする契約形式をとる条件で、まず20%の取得を認める判断を下した。

新しい契約によると、4iGが公開買い付けと私募を通じて、まず20%を取得する。その後3年以内に、通信省の承認を経て残る31%を買収する。取引金額は明らかにされていないが、昨年10月時点

の発表では、2億2,100万シェケル(6,900万米ドル)とされていた。

スペースコムは静止衛星「エイモス」4基を運用し、放送・ブロードバンドサービスを提供する。このうち、中東欧をカバーする「エイモス3号」はハンガリー政府から借り受けた軌道上を飛行しているが、この契約は2024年に期限が切れる。その後は4iGの子会社カルパチアサット(CarpathiaSat)に軌道使用権が移る。

4iGは企業買収を通じて数年の間に東欧をリードする電気通信企業に成長した。最近では8月に英ボーダフォンのハンガリー事業買収を発表した。国内では固定通信、インターネット、ケーブルテレビ、デジタル地上波放送で市場をリードする。同社の筆頭株主は、オルバン首相の学友として知られるレーリンツ・メ-サーロシュ氏の右腕であるゲッレールト・ヤーサイ氏だ。

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