●景気への影響を見極めるため、追加利上げを見送り
●中銀の戦略はインフレ高進の長期化を招く=蘭ING銀
ポーランド中央銀行(NBP)は5日、主要政策金利である7日物レファレンス金利を6.75%に据え置くことを決定した。金利据え置きは予想外。中銀は前回まで11会合連続で利上げしていた。物価の上昇が続く中、現在の金利の景気への影響を見極めるため追加利上げを見送った。ロンバート金利は7.25%に、公定歩合(再割引率)は6.8%に、預金金利は6.25%にそれぞれ据え置いた。
同国のインフレ率は9月に17.2%となり、前月から1.1ポイント拡大した。インフレ率の上昇は7カ月連続で、2月(8.6%)からの上げ幅の合計は8.6ポイントに上る。ロシアのウクライナ侵攻を受けた農産物とエネルギー価格の高騰に加え、上昇するコストを企業が価格に転嫁していることが大きい。今後について中銀は、高い金利と経済成長の鈍化、為替相場における通貨ズロチ高により緩やかに下がるとみる。
中銀は声明で、7-9月期(第3四半期)の経済活動は前年同期比で減速しており、今後数四半期の成長率はさらに鈍化すると予測。国内と世界の経済見通しが依然不透明な中、景気の悪化を招かないよう据え置きを決めたと説明した。また、為替相場における通貨ズロチの変動を抑えるため市場に介入する方針も示した。
蘭ING銀は今回の中銀の決定について、インフレ率を目標値の2.5%まで急速に引き下げるのではなく、緩やかなディスインフレを通して経済をソフトランディングさせることを狙ったものだと指摘。そのような戦略はインフレ期待を高止まりさせ、インフレ率の上昇を長期化させるリスクを高めると分析している。