●天然果実ジュースの糖分を減らしたい飲料メーカーが顧客狙い
●年産規模はジュース2億5,000万リットルの糖分低減に匹敵
フードテックを手がけるイスラエルの新興企業ベタージュースはこのほど、テルアビブ郊外に工場を開所した。果実などに含まれる自然糖質を減らす作用がある固定化酵素の商業生産に着手する。健康意識が高まる中、天然果実ジュースの糖分を減らしたい飲料メーカーが顧客ターゲットだが、ジャム、ヨーグルト、アイスクリームなど他の食品でも需要があると見ている。
ベタージュースは2018年の設立。同社が製造技術を開発した固定化酵素は、ショ糖、ブドウ糖、果糖など果汁に多く含まれる糖質を、整腸作用など健康に有益な効果があるとされるプレバイオティクスと他の食物繊維に変えることができる。ビタミン、ミネラル、抗酸化物質などの自然栄養素を損なうことなく、糖質を最大80%減らすことができるという。欧州で昨年、技術特許を取得し、食品・飲料業界向け加工機器大手の独GEAとバイオ反応装置の設計・製造で提携した。
新工場では固定化酵素の製造と、原料となる数珠状微生物の栽培・収穫を行う。敷地内に本社を移転し、試験施設も設けている。年間生産能力はジュース2億5,000万リットルの糖分低減に対応する規模という。すでに複数のジュースメーカーと提携合意している。新工場は今後4年ぐらい需要に対応できる見込みだが、世界的に需要が拡大すれば国外にも生産拠点を設ける考えだ。