●まずはレーザー技術のリティリトに350万ユーロを投資
●工業技術研究院と、IoT技術開発のテルトニカは半導体分野で提携
台湾政府系の台杉投資(タイワニア・キャピタル)が運営する中東欧ファンドが、リトアニアの半導体生産に1,000万ユーロ強を投資する。両国関係の緊密化の一環で、来年初めまでに投資を完了する。
事実上の大使館に当たる在ビリニュス台湾代表処の黃鈞耀代表が7日明らかにしたところによると、まずはレーザー技術のリティリトに350万ユーロを投資する。戦略投資家として、台湾、アジア太平洋、米国での提携などで培った専門知識をリティリトと共有し、同社の成長を支援する。
また、両国政府の合意に基づき、台湾の産業技術研究機関である工業技術研究院と、IoT(モノのインターネット)技術を開発するテルトニカが半導体設計と生産技術で提携することも決まった。詳細は数週間以内に決定される予定だ。
台杉投資は今年、資金規模2億米ドルの中東欧ファンドを設置した。主に半導体、バイオテクノロジー、航空宇宙、フィンテック、電動車、レーザー光学などの先端分野が対象で、リトアニア、スロバキア、チェコが重点となる。台湾企業の対中東欧投資のほか、中東欧企業と台湾企業の合弁事業、技術・サプライチェーン提携などを視野に入れている。
台湾では同日、やはり大使館に相当するリトアニア貿易代表処が正式に開設された。在ビリニュス台湾代表処の黃代表によれば、「偶然の一致」だが、台湾は同日、リトアニアからの乳製品、魚製品、卵製品の輸入を承認した。牛肉も年内の許可が見込まれる。また、ビールについても早ければ年末までに輸入できるようになるという。
リトアニアの対台湾輸出額は今年上半期に1,680万ユーロとなり、前年同期を29.7%上回った。
リトアニアの承認を受けて台湾は昨年11月、首都ビリニュスに台湾代表処を開設した。「一つの中国」原則を掲げる中国は猛反発し、リトアニアとの外交関係を「代理大使級」に格下げするなどの対抗措置に出た。翌12月以降は、リトアニア製品の通関や輸入申請を拒否したり、欧州連合(EU)加盟国の企業に対してリトアニア産の原材料をサプライチェーンから排除するよう圧力をかけたりする報復措置をとっている。
EUは1月末、こうした貿易慣行は差別的で、世界貿易機関(WTO)のルールに違反するとして、WTOに提訴。これまでに米国、英国、豪州、カナダ、台湾の支持を受けている。