チェコ下院、超過利益税法案を可決

●来年から25年までの時限措置として60%を課税

●対象企業の国外への拠点移転に懸念も

チェコ下院は4日、大手のエネルギー企業および銀行に対し超過利得税(棚ぼた税)を徴収する税法案を可決した。来年から2025年までの時限措置として60%を課税し、天然ガス・電力価格の国家助成財源とする狙いだ。上院が可決し、大統領が署名すれば発効する。ただ、これにより企業が国外に拠点を移すリスクを懸念する声もある。

ズビニェク・スタニュラ財相は、同税による収入が来年、35億ユーロ(850億コルナ)に上ると推算している。ただ、対象企業も対策を講じると見込まれ、導入されてもどれほどの増収効果があるかは不透明だ。

国内電力大手のEPHは下院での可決を受けて、すでに販売事業EPコモディティーズの拠点を国外に移転すると発表した。チェコ商業会議所のラディスラフ・ミンチッチ法務部長は、企業が合法な範囲で納税額を引き下げようと努力するだろうと話している。

連立与党の海賊党は今年の利益に課税するのが本筋として、法案を改正して課税を前倒しすることを求めていた。キリスト教民主連合(KDU-CSL)のマリアン・ユレチュカ労働相も同様の意見を明らかにしていたが、ペトル・フィアラ首相率いる市民民主党(ODS)が来年からの導入に固執したため、実現しなかった。ちなみにEPHも国営電力CEZも今年は大幅増益あるいは過去最高益が見込まれている。銀行大手も1—9月の利益は前年同期から40~90%拡大した。

ODSはネオリベラル勢力が強く、棚ぼた税についても党内で大きな議論が巻き起こった。最終的には時限措置である棚ぼた税の方が、一般的な増税よりもましということで一致を得たようだ。(1CZK=6.01JPY)

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