IT拠点候補としてセルビアに注目、ロシア移民の存在で

●開戦以来、同国にはロシアから多くのIT専門家が移住

●セルビアはEU加盟候補国でありながらロシアに融和的

ソフト開発大手のルクソフト(Luxoft)は18日、セルビアで開発センターを開所した。IT技能を有するロシア移民の存在で、セルビアがロシアに代わるIT拠点として注目されていることを象徴する出来事だ。翌19日には、ロシアIT大手のヤンデックスも同国に開発センターを新設する計画を明らかにした。

セルビアにはウクライナ戦争の開戦以来、ロシアから多くのIT専門家が移住している。これを受けて、ロシア企業や、ロシアから撤退した欧米企業などから立地候補として注目されることになった。セルビア政府によると、ルクソフトの同国従業員の85%がロシア出身という。

ルクソフトはスイスを本拠とし、世界30カ国で2万人強を雇用する。ロシアのウクライナ侵攻から間もなく、ロシアから撤退した。セルビアでは従業員数を現行の1,000人から来年末までに2,000人へ倍増させる計画だ。

■セルビアの特異な位置

セルビアは欧州連合(EU)加盟候補国でありながら、対ロシア制裁に加わっておらず、ロシア人の入国制限もない。セルビア国営放送RTSによると、開戦以来、セルビアで住民登録したロシア人の数は10万人にも上るという。

アナ・ブルナビッチ首相はこれまでに、ロシアや他の国からIT企業を誘致し、セルビアをIT産業のハブにしたい考えを明らかにした。政府は今年のIT輸出高が26億ユーロを超えると見込んでいる。

19日の発表によると、ヤンデックスはセルビアの開発拠点で800人強を雇用する方針で、業務内容がIT研修に広がれば、教育分野での提携も検討する。ヤンデックスは欧米諸国らの制裁対象に入っていない。

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