マイクロソフト、イスラエルで多言語カルテ翻訳にAIを活用

●同システムは不完全な文章から必要な情報を抽出し自動翻訳する

●同社の医療向けテキスト解析ソフトウエア「TAFH」を活用

米マイクロソフトのイスラエル法人が人工知能(AI)を使った医療機関向けソリューションを開発している。カルテなどに外国語で記載された不完全な文章から必要な情報を抽出し、自動的に翻訳するシステムで、医療機関に導入することで作業効率の向上が期待できる。同社は保険基金と協力し、過去の医療記録を「教材」にAIの機能を向上させて医療情報の翻訳に役立てようとしている。

マイクロソフト・イスラエルが手掛けているのは同国の国立保険基金の1つ、レウミト医療サービスとの共同研究で、同社が開発した医療向けテキスト解析ソフトウエア「TAFH」を使いAIの機械学習を行っている。レウミト医療サービスは機械学習のための機能やツールを組み込んだマイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」を、アクセス管理を厳格化して利用している。レウミト医療サービスが研究に必要なデータを入力する一方で、問題なく機械学習ができるようマイクロソフトが設定を行い、電子医療記録(EMR)と患者の診察記録を20年分参照できるようにしている。

「TAFH」は自然言語処理(NLP)を使い文章中の医療用語を検出する他、標準的な医療コードシステムと紐づけし分類することができる。利用者は重要な患者情報を見つけたり、リスクの検討や医療データの組み合わせなどを行いつつカルテの記入を自動化することが可能だ。医療技術の多くが英語での利用を前提としていることから、多言語での自然言語処理を行うことで使用言語に関わらず質の高い医療へのアクセスを可能にしようとしている。これにより医療従事者の負担を軽減するのが目標だ。

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