●新設のバッテリー工場は同拠点のすべての完成車の需要を賄う
●第6世代の円筒形セルにより航続距離と充電速度が最大30%向上
高級車大手の独BMWは25日、ハンガリー東部デブレツェンに建設中の電気自動車(EV)工場に、高電圧バッテリーの組み立て施設を併設すると発表した。これに合わせ、投資額を当初の約10億ユーロから20億ユーロに引き上げるとともに、500人を追加雇用する。同工場では2025年から、完全電気自動車(BEV)専用プラットフォームを採用した次世代の主力モデル「ノイエ・クラッセ」を生産する。
新設するバッテリー工場は同拠点のすべての完成車の需要を賄う。第6世代の円筒形バッテリーセルを使うことで、航続距離と充電速度がどちらも最大30%向上する。完成車工場の開所に合わせて稼働を開始する予定。
BMWによると、セルメーカーはリサイクル素材を含んだコバルト、ニッケルおよびリチウムを使用し、生産には再生可能エネルギー由来のグリーン電力のみを用いる。これにより、セル生産における二酸化炭素(CO2)排出量を最大60%削減できるという。
デブレツェン工場の年産能力はおよそ15万台。敷地面積は400ヘクタール超で、完成後の車両工場の面積は14万平方メートル。
ハンガリー政府はBMWの工場建設に約3,400万ユーロの助成を提供する。デブレツェンのあるハンガリー東部は欧州連合(EU)の最貧地域のひとつとみなされており、政府は同地域に拠点を設ける企業に対し、進出費用の最大50%を還付する優遇措置を設けている。