●取締役の候補者男女で能力が同等の場合、少数派の性別を優先
●比率は非業務執行取締役の40%以上、または取締役全体の33%以上
欧州議会は22日の本会議で、欧州連合(EU)域内の上場企業に対して、一定以上の比率で女性を取締役に登用することを義務付ける指令案を採択した。対象企業は2026年6月末までに社外取締役など非業務執行取締役の40%以上、または取締役全体の33%以上を少数派の性別(ほとんどの場合は女性)にする必要がある。
同指令案により、上場企業(従業員250人未満の企業を除く)は取締役の選定にあたり、男女で能力が同等の候補者がいた場合、少数派の性別の候補者を優先しなければならない。また、取締役の構成に関する年次報告書を公表し、女性取締役の比率が新ルールの最低基準を下回った場合、説明する義務が生じる。
期限までに最低基準を満たせなかった企業は、加盟国が国内法に設ける罰則規定に基づき、罰金を科される。取締役選任の取り消し処分も受ける。
同指令案をめぐっては、欧州委員会が12年11月に提案したが、一部の加盟国の反発で協議が難航していた。しかし、加盟国と欧州議会が6月に合意。欧州議会の承認により、正式に成立した。
域内の上場企業では2021年時点で、取締役に占める女性の割合は30.6%にとどまっている。会長または最高経営責任者(CEO)が女性の企業は22年に1割以下だ。国によって大きなばらつきがあり、女性取締役の比率は最高のフランスで45.3%、キプロスで8.5%となっている。