●最も高リスクの集団で追加接種を受けた人の割合は平均29%
●「変異ウイルスはワクチンや薬が効きにくくなる可能性」=EMA
欧州医薬品庁(EMA)のワクチン戦略部門を統括するマルコ・カバレリ氏は24日、欧州連合(EU)では新型コロナウイルスワクチンの追加接種が進んでおらず、本格的な冬場を迎えて高齢者や免疫不全症などの高リスク層で重症者や入院患者が増加する恐れがあると警告した。最もリスクが高いグループで追加接種を受けた人の割合は平均29%にとどまり、カバレリ氏は「かなり残念な状況だ」と述べている。
世界保健機関(WHO)が23日発表したデータによると、EU域内における過去1週間の新規感染者数は72万4,000人で、前週と比べて11%減少した。専門家が新たな流行の波を警告した10月上旬は、1週間の新規感染者数が150万人に達していた。
カバレリ氏は「新型コロナウイルスは進化のスピードが速く、オミクロンの新たな亜種が増加している。こうした変異ウイルスは免疫逃避や耐性獲得で既存のワクチンや治療薬が効きにくくなる可能性がある」と指摘。EMAは現在、次世代モノクローナル抗体の開発に取り組んでいる企業と接触して開発迅速化を図っており、12月に開催される米食品医薬品局(FDA)など各国の薬事規制当局との会議で治験のデザインなどについて協議する方針という。