●今後13年に渡り年間最大15億立方メートルのガスを調達可能に
●天然ガスのロシア依存脱却に向け、調達先を多様化
ブルガリアは3日、トルコと天然ガスの移送に向けた協力協定を結んだ。トルコのドンメズ・エネルギー天然資源相のブルガリア訪問を受けて行われたもので、同国は今後13年間にわたって年間最大15億立方メートルのガスをトルコ経由で調達できるようになる。これによりブルガリアを含む南東欧地域のエネルギー安全保障が高まると期待される。
これに合わせ、ブルガリア国営のブルガルガス(Bulgargaz)はトルコ政府系の石油パイプライン企業ボタシュ(Botas)と、トルコ北西部のサロス湾の浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)を始めとする国内の5つの液化天然ガス(LNG)基地およびガス輸送網への接続で合意した。
ドンメズ・エネルギー天然資源相は「トルコは15の国から7つの異なる経路とLNG基地を通じて天然ガスを調達・供給している。今回の協定はトルコがガス・ハブになるための重要な1歩だ」と強調した。ブルガリアのフリストフ・エネルギー相は「今回の合意のおかげで全世界の生産者から天然ガスを購入する機会を得た」と述べるとともに、トルコのLNG基地で年間約10億立方メートルのガス容量を予約し、欧州と米国のLNG生産者と輸入契約を結びたい意向を示した。
ブルガリアは4月にロシア産ガスに対するルーブル払いの要求を拒否した後、同国からの供給が途絶している。政府はガス需要の3分の一ずつを、トルコ経由のLNG輸入、来年に稼働予定のギリシャのLNG基地経由、およびアゼルバイジャンからの輸入で賄う方針だ。
トルコはロシアからもガスを輸入しており、ロシア政府は同国に自国産ガスのハブを設置する提案を持ち掛けている。フリストフ・エネルギー相は、自国に流入するガスの出所は制御できないが、ロシア産と明らかなLNGの調達契約は結ばないと明言した。