トルコ中銀が金利据え置き、緩和サイクル終了

●中銀は高インフレ下でも緩和政策を継続していた

●6月の同時選挙に向け緩和サイクル再開の圧力は強まる可能性

トルコ中央銀行は12月22日の金融政策決定会合で、主要政策金利である7日物レポ金利を9%に据え置いた。金利据え置きは市場の予想通り。前回まで4会合連続で利下げを行っていた中銀は、金利がエルドアン大統領の求める1桁台まで下がったことを受け、利下げサイクルを停止する意向を表明していた。

同国のインフレ率は12月に64.27%となり、11月(84.39%)から20.12ポイント減少した。比較対象となる前年同月のインフレ率が36.1%と高水準だったことによるベース効果が大きい。

インフレ率は10月の85.51%まで17カ月連続で上昇していた。インフレ高進の背景について中銀はこれまで、地政学的な緊張の増大に伴うエネルギーコストの上昇や、金融政策の埒外にある供給側の要因、経済の基礎的な条件を反映していない価格設定の影響などによるものだとする見解を繰り返し、極度のインフレにもかかわらず緩和政策を続けることを正当化していた。

中銀は声明で、不確実性や地政学的リスクが高まる中、成長の勢いと良好な雇用環境を維持するため「支援的な」金融政策が必要と判断し、据え置きを決めたと説明。金利は世界的な需要の落ち込みに対処するうえで適切な水準になったとの見解を繰り返した。

■エルドアン大統領は低金利に自信、選挙に向け緩和サイクル再開か

エルドアン大統領はかねてより、「低金利政策で生産、輸出、雇用を増やせば経常黒字が生み出され、通貨安定・インフレ低下につながる」とする独自の理論に立ち、中銀に対し一貫して金融緩和を求めてきた。同大統領は今回、金利の引き下げは投資を促進させるためだとし、投資家に向け「金利の高さを嘆く必要はない。9%だ。今こそ投資しよう」と呼びかけた。

同国では今年6月に大統領・議会の同時選挙が予定されている。キャピタル・エコノミクスで欧州新興国を担当するニコラス・ファー氏は「中銀はインフレ抑制と信頼回復に不可欠な利上げをすぐには実施しないだろう」とコメント。「選挙が近づくにつれて、大統領が中銀に対し緩和サイクルの再開を迫る圧力は強まる」との見方を示した。

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