●国民の意見や要望を分析し、討議材料として活用する狙い
●AI顧問の運営管理は、研究・革新・デジタル化省が担当する
ルーマニアのニコライエ・チウカ首相は1日、政府「顧問」として世界初の人工知能(AI)ソリューションを試験導入したと発表した。公開情報やサイトに寄せられた情報を基に、国民の意見や要望を分析し、討議材料として活用する狙い。
導入されたのは、国内で開発した「AI顧問」のヨン(Ion)。プロジェクト情報によると、SNSの公開情報および特設サイトに入力された情報、さらに対人で受け付けた情報を基に、社会的に関心の高い問題に関する国民の考えを、「自動的に、バランスの取れた形で自然かつ先入観なしに」リアルタイムで把握し、国民の意見や考えをグラフ化するという。例えば、公的サービスに対する利用者の満足度を測るのに役立つと考えられている。
課題の優先順位も公的部門における重要性を考慮した上で定め、これに沿った形で情報が選び出される。ただ、人権団体のアイルランド市民自由協議会(ICCL)のクリス・シュリシャク氏は、「国民にとって重要な情報」を選択する基準が、どう定められるのか、具体的に分かりやすく説明することが必要だと指摘している。
ヨンの運営管理は、研究・革新・デジタル化省が担当する。チウカ首相は、ヨンの活用は「選択肢の一つというよりも、必須」とし、国民に積極的な参加をよびかけた。