●流通している医療機器が有効性を維持できるようにする目的
●高リスク機器は27年末、中・低リスク機器は28年末を新期限に
欧州連合(EU)加盟国は7日に開いた保健担当相理事会で、域内で流通する医療機器が不足する事態を防ぐため、2021年5月に適用が開始された「医療機器規則」の適合期限を延期する改正規則案を承認した。新ルールに基づく適合性評価などの煩雑な手続きによって重要な医療機器が供給不足に陥るのを避けるため、製造業者に新規則に適合するための時間的猶予を与え、現在流通している医療機器が引き続き有効性を維持できるようにする。
医療機器規則は国際的に認知された透明性の高い持続可能な規制の枠組みを構築するため、国内法に置き換える必要がある従来の医療機器指令に代わって17年4月に採択された。新旧ルールの基本的規制要件はほぼ同じだが、新規則では通知機関の指定に関する要件が厳格化され、各国当局および欧州委員会による統制と監視が強化されている。また、機器に関する情報や性能研究の公表を義務付けるなど、透明性の確保にも重点が置かれている。
旧指令の下で認証を受けた機器も新規制の対象となり、再度認証を受ける必要があるが、24年5月26日までは旧指令に基づいて発行された証明書で引き続き域内での販売が可能となっている。
欧州委は1月、医療機器規則に基づく審査手続きの煩雑化などにより、心臓疾患をもつ新生児の手術に用いられるカテーテルなど、一部の必須医療機器の供給が脅かされているとして、適合期限を24年5月26日から延長することを提案。安全性が確保されていることなどを条件に、高リスク機器は27年12月31日、中・低リスク機器は28年12月31日を新期限とする方針を打ち出していた。
欧州議会は欧州委案を承認済み。15日に最終承認される見通しだ。