トルコ、ロシア・ベラルーシへのトランジット輸送管理を強化

●トルコはロシアの「並行輸入」の主要経路のひとつ

●米国や欧州委からの是正圧力の高まりが背景か

トルコ政府が欧米による対ロシア制裁で禁輸対象となっている製品をロシア、ベラルーシにトランジット輸送することを禁じたもようだ。同国はロシアが制裁の網をくぐり、ライセンス保有者の許可なしに製品を輸入する「並行輸入」の主要経路のひとつとなっており、欧米からの是正圧力が高まっていた。

ロシア経済紙『コメルサント』が物流企業の販売部長の話として9日付で伝えたところによると、3月6~7日の夜からトルコ関税当局は欧州連合(EU)の制裁リストにある物品のトランジット申告受付を予告なしに中止した。禁輸対象外の物品やトルコ産のものはロシア、ベラルーシに輸出できる。ただ、トルコ税関の管理が厳しくなることでコストが上昇し、両国の調達費を押し上げると予測される。

欧州復興開発銀行(EBRD)によると、欧米の対ロシア輸出が大きく縮小する一方で、アルメニアやキルギスなど、ロシア周辺国の輸出が急激に拡大した。トルコもそのひつで、例えば昨年8月には対ロ輸出高が7億3,800万米ドルと過去最高を記録した。1カ月当たりのトランジット輸出高は2億~4億ドルと推測される。

今回のトルコの措置については、2月のブリンケン米国務長官のトルコ訪問や、欧州委員会が第10次対ロシア制裁発動に際し、制裁を骨抜きにしようとする国々に対する圧力を高める方針を明らかにしていたことが背景にあるといわれる。

ロシアによる電子製品調達で中心的な役割を果たしたアラブ首長国連邦(UAE)への圧力も高まっているようだ。

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