EU首脳会議、グリーン・デジタル分野の競争力強化で合意

●競争力を確保し戦略的自立を高めることが不可欠との認識で一致

●デジタルやサービス分野で「野心的な行動」が求められると指摘

欧州連合(EU)加盟国は23日に開いた首脳会議で欧州の産業競争力強化に向けた戦略について協議し、グリーン産業やデジタル分野で米国や中国に対抗するため、単一市場の改革や規制の簡素化を進めることで合意した。気候変動、エネルギー価格、地政学リスク、労働力不足などさまざまな問題に直面する中、生産性の向上や円滑な資金調達を実現して競争力を確保し、戦略的自立を高めることが不可欠との認識で一致。6月の首脳会議までに具体策をまとめるよう欧州委員会に指示した。

合意文書では、EUの経済成長に単一市場が不可欠だとする一方、特にデジタルやサービス分野で単一市場を完成させるための「野心的な行動」が求められると指摘。また、長期的な競争力強化に向けてグリーン産業やデジタル分野でイノベーションを推進するため、許認可手続きの迅速化など、規制の簡素合理化を進める必要があると強調した。

このほか◇民間投資を促して特に中小企業が資金調達しやすい環境を整備し、戦略的な産業分野への支援を拡充する◇イノベーションを推進し、研究・開発への投資を拡充する◇経済・社会のデジタル化を加速させる ―― などを優先課題として挙げた。

一方、首脳会議ではウクライナへの支援策についても協議し、今後1年間に100万発の弾薬を提供する計画を承認した。また、ロシア軍によって連れ去られた子どもたちを帰国させるため、国際会議を開催する方針で一致した。拉致された子どもたちの奪還に向けて国際社会による支援体制を強化し、ロシアへの圧力を強める狙いがある。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は会議後の記者会見で、子どもの連れ去りは「われわれの歴史の中で最も暗い時代を思い出させる。これは戦争犯罪だ。国際社会が結束し、あらゆる手段を講じて子どもたちの所在を確認する」と強調した。

ウクライナ政府は2月末までに少なくとも1万6,000人の子どもが連れ去られたと主張しており、国際刑事裁判所(ICC)は今月17日、拉致に関与したとしてプーチン大統領らに逮捕状を発行した。

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