●保証期間後も購入から最大10年以内は修理を依頼できるように
●消費者が買い替えより修理を優先する環境を整える
欧州委員会は22日、廃棄される製品を減らして循環型経済への移行を実現するための指令案を発表した。消費者に「修理する権利」を保障し、保証期間が終了していても購入から最大10年以内であれば、少ない費用で修理を依頼できるようにすることなどが柱。消費者が買い替えより修理を優先する環境を整え、修理の需要を高めてメーカーや販売業者に持続可能なビジネスモデルの構築を促す。今後、欧州議会と閣僚理事会で指令案について協議する。
製品に不具合が生じた場合、保証期間が終了していると修理可能であるにもかかわらず、廃棄されるケースが多い。欧州委によると、欧州連合(EU)ではこうした使用可能な製品の廃棄物が毎年3,500万トンに上り、買い替えに年間120億ユーロが投じられている。今回提案された「製品の修理を促進する共通ルールに関する指令(案)」は、従来の「使い捨て社会」から脱却し、限られた資源を繰り返し利用する循環型経済への移行を促すのが狙いで、欧州委はリペア市場の活性化による経済効果を約48億ユーロと試算している。
指令案によると、例えば洗濯機やテレビなど、技術的に修理が可能な製品が保証期間内に故障した場合、メーカーは交換ではなく、修理して引き続き使用できる状態にしなければならない。ただし、修理の方がコストが高くなる場合は交換で対応することができる。また、購入から5~10年(製品のタイプによって異なる)以内であれば、保証期間が終了していても修理に応じなければならない。
指令案にはこのほか◇消費者と修理業者をつなぐオンラインプラットフォームを構築し、消費者が自分の居住地域で修理業者や再生品の販売業者を見つけられるようにする◇「欧州修理情報フォーム」を立ち上げ、消費者がサービス内容や条件、修理にかかる費用などを比較できるようにする◇修理サービスの欧州品質基準を策定し、消費者が高い品質を約束する修理業者を識別できるようにする ――などが盛り込まれている。