●プロジェクト数はエネルギー、ハイテク、物流輸送分野で79件
●中国向けパイプライン「シベリアの力2」も実現に向け前進
ロシアのプーチン大統領は21日、同国を訪れた中国の習近平国家主席と会談し、ウクライナ紛争の解決と経済・貿易関係の拡大について話し合った。これに合わせ、エネルギー、ハイテク、輸送および物流分野での協力に焦点を当てた79件のプロジェクトについて、両国間の投資協力委員会を通じて合意が結ばれた。プロジェクト規模は1,650億ドルに上る。
習主席はロシアのミシュスチン首相とも会談し、両国間の包括的な連携と戦略的協力の強化で一致した。この中で習主席は、中国が主導する「一帯一路」構想をユーラシア経済連合(EAEU)と結びつけることが非常に重要だと指摘。EAEUを巡りロシアと高いレベルで地域協力を行う用意があると述べた。一方、ミシュスチン首相はハイテク分野と農産複合体、エネルギー分野における中国との協力の重要性を強調した。このうちハイテク分野に関しては、航空機や工作機械の製造、機械工学、宇宙開発、エンドツーエンド(E2E)技術について協力を検討している。
習主席との会談を受けてプーチン大統領は、両国が持つ可能性と能力を合わせることで、IT、ネットワークセキュリティ、人工知能(AI)の分野で世界を主導できるようになるとの展望を述べた。ウクライナ侵攻を受けた対ロ経済制裁により、同国へのハイテク技術や機器類の輸出は禁止されている。
同大統領はまた、西シベリアの天然ガスをモンゴル経由で中国へ運ぶパイプライン「シベリアの力2」の建設に向けて「ほぼ全ての要件で合意」したことを明らかにした。同パイプラインの輸送能力は年間500億~600億立方メートルと見積もられており、東シベリアから中国に至る既存パイプライン「シベリアの力」の340億立方メートルを上回るが、最低でも5年の建設期間が見込まれている。
プーチン大統領はさらに、中国人民元をアジア、アフリカ、中南米諸国との決済通貨にする考えも示した。