●昨年の生産能力は米国を抜き、73GWhに拡大
●さらなる強化には循環経済の仕組みを形成するのが肝要
ポーランドのリチウムイオン電池の生産能力が2022年、73ギガワット時(GWh)に拡大し、米国を抜いて中国に次ぐ世界2位に浮上した。世界の総生産能力の6%、欧州の14%を占める。ただ、77%の中国が独走する状況に変わりはない。ポーランド代替燃料自動車協会(PSPA)がブルームバーグ・エナジーファイナンス(BNEF)の統計をもとに明らかにした。
バッテリー輸出額は、2017年の約10億ズロチ(2億1,000万ユーロ)から22年には386億ズロチ(82億4,000万ユーロ)と、38倍に急増した。これは、ポーランド輸出総額の2.4%に相当する。
業界企業の対ポーランド投資としては、韓国LGエナジーソリューション、スウェーデンのノースボルトといった電池メーカーのほか、韓国SKネクシリス(銅箔)、独メルセデス・ベンツ(電動バン)、スウェーデン乗用車大手のボルボ・カー(ソフト開発拠点)など関連分野メーカーの例もある。
ただ、他国でも電動車(EV)向けリチウムイオン電池生産へ投資する動きが盛んなため、PSPAでは、2027年にポーランドが世界6位へ転落する恐れを指摘している。そのうえで、バッテリー産業の強化のカギとして、(1)バッテリーセル・バッテリー部品原料の国内生産能力拡大(2)有能な人材の育成(3)サプライチェーンにおけるイノベーションの推進――を挙げる。なかでも(1)は実現が難しい問題で、行政手続きの簡易化とバッテリーの再利用・原料リサイクル技術を開発し、業界内で生産・使用・廃棄を貫く循環経済(クローズドループ)の仕組みを形成するのが肝要と訴えている。(1PLN=31.70JPY)