ロシア小売業界で買収発表相次ぐ

ロシア小売業界における企業買収の発表が相次いでいる。18日に業界2位のマグニ
トが同3位のディクシーを買収することが明らかになったのに続き、19日にはハイ
パーマーケット大手のレンタが独レーベ子会社ビラのロシア事業取得を発表した。
業界再編がさらに一歩進んだ格好だ。
マグニトは、マーキュリー・リテール・グループからディクシーを約924億ルーブ
ル(12億5,000万米ドル)で完全買収する。競争当局の承認を経て8月末までに手続
きを完了する予定だ。最終的な取引額は債務や運転資本の増減を勘案し、取引日に
調整する。
ディクシーは、重要市場であるモスクワ圏(1,329店舗)、サンクト・ペテルブル
ク圏(458店舗)を含め、合計2,651店舗を運営する。売り場総面積は85万4,000平
方メートルで、マグニトとほぼ同じだ。
マグニトはディクシーの全店舗に加え、モスクワ、サンクト・ペテルブルクおよび
チェリャビンスク州の5カ所にある配送センターも引き継ぐ。これにより、オンラ
イン販売を強化したい意向だ。
ディクシーは買収後も別法人として存続し、自社ブランドを維持する。
ディクシーの獲得でマグニトのグループ売上高は約18%増の2兆ルーブルとなる。
最大手X5を大きく追い上げ、トップも射程圏内に入ってきた。
一方、レンタは独レーベからオーストリア子会社ビラのロシア事業を2億1,500万
ユーロで買収する。2025年までに売上高を1兆ルーブルへ倍増させる目標の達成に
向けたもので、夏に手続きが完了する見通し。買収資金は現金のほか、既存の融資
枠からの借入でまかなう。レンタでは今後も買収の機会をうかがっていく方針だ。
今回の取引を通じ、レンタはモスクワ圏を中心にビラの全161店舗、従業員5,400人
を自社チェーンに統合する。これにより、展開店舗数は2倍に拡大する。サプライ
ヤーとの取引関係も引き継ぐ。
ビラの店舗は坪効率(面積当たりの売上)が高い地区にあり、モスクワ圏の食品小
売市場におけるレンタのシェアは約3ポイント増加する見通し。

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