ポーランド石油大手のオルレンは6月29日、グループ・プラントの自社用発電設備
として小型原子炉(SMR)を導入するプロジェクトで、国内化学企業シントスと枠
組み契約を結んだと発表した。2050年のカーボンニュートラル(実質ゼロの排出
量)達成に向けた取り組みの一つで、合弁会社の設立を含め、3カ月以内に詳細を
詰める。
両社が設置を目指すのは、シントスが提携するGE日立ニュークリアエナジーのSMR
「BWRX-300」だ。従来の原子炉に比べて出力が300メガワットと小さく、量産体制
に入れば出力1キロワット当たりのコストが2,000米ドル前後と安い。国内では「7
〜10年後(オルレンのオバイテク最高経営責任者(CEO))」、国外でも「2030〜
31年(シントスのヴァルムズCEO)」には設置が実現するとみている。水素を生産
するための電力としても利用を検討する。また、将来的には自社用途だけでなく、
他社からの受注も狙う。
シントスは19年、ポーランドにおける「BWRX-300」の設置でGE日立と提携した。昨
年10月には米原子力発電最大手のエクセロン・ジェネレーションおよびGE日立の協
力を得て、ポーランド原子力庁(PAA)と「BWRX-300」設置の可能性をめぐる協議
を開始した。同11月には、マイクロ原子炉(MMR)を開発する米ウルトラセーフ・
ニュークリア・コーポレーション(USNC)と提携。ポーランド開発省に対し、欧州
連合(EU)の「欧州の共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組み
に基づく助成を申請した。水素の工業生産に用いるエネルギー源としてMMRを位置
付けている。