独化学大手ヘンケルのロシア資産が売却されるもようだ。経済紙『ヴェドモスチ』
が28日、情報筋の話として伝えたもので、露製薬大手ファームスタンダード
(Pharmstandard)の親会社である現地投資会社キスメトキャピタル(Kismet
Capital)が過半数株を取得するという。ベラルーシの工場も含んだロシア資産の
評価額は6億7,300万ユーロと見積もられている。
ヘンケルはウクライナへの軍事侵攻を受け、昨年4月にロシア事業からの撤退を決
定。今年3月初頭には月末までに撤退を完了すると発表していた。ヴェドモスチに
よると、ヘンケルとキスメトキャピタルはすでに当局から取引許可を得ている。契
約には将来的に資産を買い戻す権利が含まれており、売却後もロシア工場ではヘン
ケルブランドの製品を生産するという。ヘンケルのロシア事業は昨年12月末に独立
し、1月1日付で新会社Lab Industriesとして再スタートを切った。
1991年にロシアに進出したヘンケルは国内で計11工場を展開し、洗剤やケア用品、
接着剤を主に現地市場向けに生産している。同国事業の2021年の純利益は前年比4.
6%減の74億8,000万ルーブル(9,000万ユーロ)、売上高は13.1%増の951億4,000万
ルーブル(11億4,000万ユーロ)だった。(1RUB=1.70JPY)