チェコは3日、米国主導の国際宇宙探査に関する政治宣言「アルテミス合意」に署
名した。これにより同合意への署名国は24カ国に拡大した。
アルテミス合意は国際宇宙探査計画「アルテミス計画」をはじめとする宇宙探査や
宇宙利用に関する基本原則を定めたもの。同計画は2024年までの有人月面着陸、
2030年代の有人火星着陸を目指している。同合意に署名したチェコのヤン・リバフ
スキー外務相は、「チェコでは宇宙開発に100以上の企業や機関が関与しており、
過去6年間で50以上の新興企業が設立された。合意への署名は関係国だけでなく、
チェコと米国との制度面や産業面での協力発展に弾みをつける」と述べた。
チェコは宇宙関連の分野で一定の地位を占めている。2008年に欧州宇宙機関
(ESA)に正会員として加盟したほか、首都プラハには欧州連合宇宙計画庁
(EUSPA)が本拠を置き、欧州独自の測位システム「ガリレオ」と地球観測システ
ム「コペルニクス」の運用を担当している。
チェコスロバキア時代の1979年には米国、ソ連に次いで宇宙飛行士を送り出した3
番目の国となった。その宇宙飛行士、ヴラディミール・レメクは2004〜13年に欧州
議員を務め、EUSPA の前身の欧州衛星測位システム運営庁(GSA)のプラハ招致に
尽力した。
アルテミス合意は2020年10月、日本、米国、カナダ、英国、イタリア、オーストラ
リア、ルクセンブルク、アラブ首長国連邦(UAE)の8カ国により署名された。宇宙
の平和利用、透明性の確保、相互運用性の確保、宇宙資源の利用、スペースデブリ
(宇宙ゴミ)対策などを定めている。中東欧ではチェコのほか、ポーランド、ルー
マニア、ウクライナが署名している。