ロシアが16日の大統領令を通じて、仏ダノンとデンマークのカールスバーグのロシ
ア子会社を国家の管理下に納めた。4月の独ユニパー、フィンランドのフォータム
の例に続くものだ。ロシア政府の意図は定かでないが、◇西側諸国によるロシア国
家・民間資産の凍結・押収措置に対する報復◇撤退を発表、あるいは検討するロシ
ア進出企業へのけん制——といった見方が出ている。
ロシア政府は今年4月、「非友好」国の企業のロシア資産を「一時的に」国家管理
下に置くことを認める政令を発布。独ユニパーとフィンランドのフォータムのエネ
ルギー子会社に適用した。ただ、今回の2社は政府からの出資を受けておらず、天
然資源、電力など戦略産業の企業でもない。このため、どんな業種でも西側企業で
あれば、ロシア子会社が政府に取り上げられる危険があると周知させる目的なので
はという推測する声もある。
ダノンはロシア乳製品市場で最大シェアを占める。昨年10月にロシアの主要事業の
買い手を探すと発表し、これに伴い最大10億ユーロを減損処理するとしていた。16
日の時点で、売却先はまだ見つかっていなかった。
カールスバーグはロシアのバルティカ醸造所を傘下に置き、同国ビール市場で2位
の地位を築いていた。先月末にロシア事業売却で合意を結んだと発表していたが、
今回の措置で取引が進められるかどうか、見通しが立たなくなった。
ロシア軍のウクライナ侵攻を機に、外資系企業が次々にロシア撤退の方針を明らか
にしたが、ロシア政府が取引価格を規制したり、取引税を課したりと、売却を難し
くしている。キエフ経済大学(KSE)の調べによると、外資系企業のうち、これま
でに撤退を完了したのはわずか8%弱。撤退を予定している企業は43%だが、ロシ
ア政府の姿勢から判断すると、撤退するにはロシア資産を失う覚悟が必要になりそ
うだ。