ロシア、政府公用車の外国車調達を禁止へ

ロシアは政府公用車を国産車に限定する方針だ。国内の自動車産業を支援する政策
の一環。連邦政府から地方政府まであらゆるレベルの公的機関で外国車の調達が禁
止される。すでに禁止措置は発動されており、数週間以内に正式に発令される見込
み。Web誌『Wards Auto』が19日に伝えた。
ロシアでは伝統的に、独メルセデスベンツ、BMW、アウディが連邦政府高官や国営
企業のトップに好まれ、地方当局者にはトヨタ「カムリ」とフォード「モンデオ」
が人気だった。同国のアナリストによると、年間3万台から5万台、総額で3億〜4億
ドル相当の外国車が政府機関や当局によって購入されている。調達方法は公式ルー
トからグレーゾーンなものまで様々だ。
グローバルな自動車大手にとり、ロシアは昨年3月のウクライナ侵攻までは主要市
場のひとつで、現地工場を持っているメーカーも多かった。メルセデスベンツのモ
スクワ工場も生産台数は年2万5,000台と比較的小規模だが、その大半を連邦政府に
納入していた。
ウクライナ戦争の勃発により西側メーカーがロシア事業を中止する中、政府公用車
として候補に挙がっているのがロシア車と中国車だ。ただ、現在ロシアで生産され
ているほとんどのモデルはほぼ全ての部品を中国など外国メーカーのものを使って
おり、どこからロシア製と位置付けるかは難しい。例として、撤退した仏ルノーの
工場でロシア自動車最大手のアフトワズが生産している国民車「モスクビッチ」の
3代目モデルは中国江淮(JAC)のコンパクトSUV「S4」をベースにしており、部品
の大半を中国から輸入している。
アナリストは、役所などへの通勤には国産車を利用し、個人用途では外国車を使う
公務員がいる以上、外国車の一律利用禁止にはならないとみる。調達禁止措置の発
動後もリース制度などを用いた抜け道が残ると見ている。

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