ロシア政府は21日、ガソリンとディーゼル油の輸出を当面禁止すると発表した。国
内における品不足を改善し、価格の安定を図る狙い。低質ディーゼル油および船舶
用燃料は25日に対象から除外されたが、他の燃料についてはいつまで禁輸が続くの
か分かっていない。ロシアの主導するユーラシア経済連合(EEU)に加盟するベラ
ルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスタンの4カ国には輸出を継続する。
ロシアではこの数カ月、車両用燃料が不足しており、卸価格が急上昇している。一
方、小売価格はインフレ率(公式統計値)と同じ上昇幅に抑える政策がとられてい
る。
燃料市場の関係者によると、品不足には◇製油所の保守作業◇鉄道貨物輸送におけ
る隘(あい)路の存在◇通貨ルーブル安で輸出の利ザヤが拡大——など、複数の要
素が関連している。
政府はすでに◇輸出課税の強化◇車両用燃料の資源市場への最低供給量引き上げ—
—などを通じて、国内流通量の拡大に務めてきた。今月1〜20日のディーゼル油と
ガソリンのタンカー輸出量は170万トンと、前月1〜20日に比べて30%近く縮小して
いる。
ロシアの「穀物庫」と呼ばれる南西部の農業地帯では、燃料不足で収穫の進捗に懸
念が出ている。これは穀物・食品価格上昇への不安がふくらむ原因にもなってい
る。政府は来年3月の大統領選挙を控えて、今回の措置で国民の不満を鎮めること
を狙っているとみられる。アナリストらは数週間後には禁輸が解かれると見込んで
いる。