ビール大手カールスバーグ、ロシア政府との取引を拒否

デンマークのビール大手カールスバーグはこのほど、ロシア事業(バルティカ)と
の関係を断絶し、同国政府との取引を拒否すると発表した。事業の没収を正当化す
るための協力はできないという立場だ。
カールスバーグは昨年来、ロシア子会社であるバルティカの売却先を模索。今年6
月末に売却先が決まったと発表したが、7月中旬にバルティカはプーチン大統領の
命令で政府管理下に置かれた。以後、大統領およびその側近と長年の交流があるタ
イムラズ・ボロエフバルティカ氏が同社社長として采配を振るっている。同氏はバ
ルティカの創業者で2004年まで15年にわたり同社を運営していた経歴がある。
9月にカールスバーグの最高経営責任者(CEO)に就任したばかりのヤコブ・アー
ルップアナーソン氏は、7月以来、バルティカ経営陣およびロシア当局と限定的な
やり取りしかできず、これまでのところ、バルティカに関して自社が受け入れられ
る解決策がないと説明。そのうえで、「ロシア政府による違法な取得を正当化する
ような取引には応じられない」という立場を明確にした。
カールスバーグはロシアで醸造所8軒を運営し、約8,400人を雇用している。昨年、
ロシア事業に関連し、99億デンマーククローネ(14億1,000万米ドル)の減損処理
を実施した。
なお、カールスバーグは先月、バルティカとのブランド契約を解消する意思を確認
した。これにより、バルティカは法律上、カールスバーグ製品の醸造・マーケティ
ング・販売ができなくなる。

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