イラン中央銀行のモハマド・レザー・ファルジン総裁は6日、貿易取引における自
国通貨建て決済と、現金自動預け払い機(ATM)ネットワークの接続でロシアと合
意したと発表した。6月末のロシア訪問で、両国間貿易における米ドル決済を中止
することで一致したのを受け、代わりとなる決済方法を導入する。
2014年にロシアがクリミア半島を占領したことに対し、欧米諸国らが制裁を発動し
たのを機に、ロシアはイランと連携して銀行システムの強化に取り組んできた。両
国の経済界が直面する課題に対処するためだ。通貨スワップ協定の締結、オフショ
ア通貨の活用、暗号資産の採用、銀行間ネットワークの接続などが計画されてい
る。
ロシアとイランは欧米諸国による制裁でSWIFTなどの国際銀行間送金インフラの利
用が難しくなった。これに対応して両国は昨年、銀行間通信システムを接続し、両
国間の送金、買取銀行無指定信用状(open L/C)の発行が可能になった。
今回、イランとロシアの決済システム(シェタブとミール)の接続で合意。まず8
月からイランの銀行カードでロシアのATMからルーブルを引き出せるようになる。
第二段階ではロシアの銀行カードを使ってイランのATMからリアルを引き出せるよ
うに、第三段階ではイランの銀行カードを使ってロシアの店舗で買い物ができるよ
うになる。
ファルジン総裁によると、イラン為替センターにおけるルーブル取り扱いに向け、
現在、オフショア・リアルを導入する準備を進めている。イラン・ロシア合同商工
会議所のカンビーズ・ミルカリミ理事は、「為替レートが複数存在する現状を是正
し、レートを統一できるかどうかが成功のカギを握る」とみる。
イランのすべての銀行は中銀の指示に従い、シェタブへの接続を義務付けられる。
この措置は2017年以来、たびたび計画されたものの、「技術的理由」で延期されて
きた。