欧州自動車大手ステランティスは22日、傘下の伊フィアットがセルビア中部クラグ
イェバツの工場で新型コンパクトSUV「グランデ・パンダ」の電気自動車(EV)モ
デルの生産を開始したことを明らかにした。10月から量産体制に移行する計画。ハ
イブリッド(HV)モデルの生産も予定している。バルカン諸国でEVを量産するのは
セルビアが初めて。
量産開始に向けて製造ライン従業員を従来の約1,000人から増やす。製品は欧州・
中東・アフリカ(EMEA)地域に出荷する。
グランデ・パンダのEVモデルは市販価格2万5,000ユーロ弱からだが、セルビア政府
が支給する最大7,000ユーロのEV購入補助金により1万8,000ユーロから購入でき
る。HVモデルの市販価格は1万9,000ユーロ弱からとする予定。
ステランティスは欧州車より30%割安とされる中国車の進出を脅威と受け止めてお
り、価格に加え品質と革新性で顧客を獲得する方針だ。タバレス最高経営責任者
(CEO)は中国メーカーの欧州攻勢を「大規模かつ苛烈」と表現しつつ、先進技術
で「戦う」ことで強力に立ち向かえるとした。
ステランティスとセルビア政府は2022年、以前「フィアット500L」を生産していた
同工場でのEV生産に向け、総額1億9,000万ユーロを共同投資する契約を結んだ。工
場は同社と政府の合弁FCAセルビアが運営しており、出資比率はそれぞれ67%、
33%となっている。
同国のブチッチ大統領は、政府がステランティスに4,800万ユーロを助成したと述
べるとともに、25年には同工場の生産が国内総生産(GDP)成長率を0.5ポイント押
し上げるとの予測を示した。