ハンガリー、ロシア産天然ガスの調達を拡大

ハンガリーのペーテル・シーヤールト外務貿易相は10日、エネルギー大手MVMがロ
シア国営ガスプロムと天然ガス調達量の増加で基本合意書に調印したと発表した。
サンクトペテルブルク国際ガスフォーラムを機に契約したもので、パイプラインを
通じ、「競争力のある価格」で供給を受ける。
ハンガリーは2021年に調印した15年契約に基づき、ロシアから年間45億立方メート
ルの天然ガスを購入している。これは昨年の全輸入量のほぼ半分に相当する。シー
ヤールト外務貿易相によると、今年はロシアからの調達が67億立方メートルに増加
する見通しだ。
欧州連合(EU)が27年までにロシアからのガス輸入を完全になくす方針であるのに
対し、ハンガリーはロシア産ガスの調達を継続する立場を示している。EUの方針に
従えば、コスト増大で国のエネルギー安全保障が確保できなくなるという説明だ。
しかし、左派全国紙『ネープサヴァ』が中央統計局(KSH)、欧州統計局(ユーロ
スタット)および蘭ガス取引相場のデータを基に報道したところによると、ハンガ
リーの調達価格は市場価格を常に上回っており、政府の最大の論拠が誤っているこ
とになる。
ウクライナとロシアのガス輸送契約は年末で失効する。シーヤールト外務貿易相
は、トルコ・ストリームがウクライナのパイプラインに替わる送ガスルートにな
り、自国のみならず他の中欧諸国の利益にもなるという立場だ。ただ、ノルウェー
の調査会社ライスタッド・エネルギーは7月の時点で、ウクライナ経由の輸送が完
全に止まれば、ハンガリーが十分な量を確保できるかどうか確かではないという見
方を明らかにした。
ヴィクトル・オルバン政権(フィデス)は対ロシア制裁およびウクライナ支援でEU
と対立している。ロシアの対ウクライナ全面侵攻以来、ロシアとのエネルギー提携
を緊密化しているEU加盟国はハンガリーだけだ。また、シーヤールト外務貿易相は
今回を含め全面侵攻後にロシアを11回訪問しており、ロシアとの親密さをアピール
している。

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