新興国で作る多国間協力の枠組み「BRICS」に、中央アジアの地域大国カザフスタ
ンは現時点で加盟する意図はないもようだ。ベリック・ウアリ大統領報道官が16
日、国内メディアのインタビューで明らかにした。同氏は加盟申請を控える理由と
して、加盟プロセスの煩雑さと、進行中のBRICSの拡大に関する「その他の要因」
を挙げ、「(非加盟の)方針が近い将来に変わる可能性は低い」と述べた。
「BRICS」はブラジル、ロシア、インド、中国、そして後に加盟した南アフリカの5
カ国の頭文字をとったもので、米国の主導する世界秩序に対抗し、多極的な世界秩
序を形成する目的で2009年に結成された。現在はサウジアラビア、イランなどを加
えた計10カ国が参加する。今年8月にはアゼルバイジャン、9月にはトルコが加盟の
意向を明らかにした。
カザフスタンは中央アジア最大の経済規模を持つ。ロシアのプーチン大統領は今月
22日から24日までタタールスタン共和国の首都カザンで開かれるBRICS首脳会議に
同国のトカエフ大統領を招待する予定だ。ウアリ報道官はトカエフ大統領が加盟の
提案を受けていることを認め、提案が国益に合致するものかどうかを大統領と関係
部門が「慎重に検討している」と付け加えた。
旧ソ連構成国のカザフスタンはロシアとの戦略的関係を維持しているものの、ウク
ライナ戦争ではロシアを支持しない姿勢を明確にしており、ウクライナ領土の併合
も認めていない。この間に欧米や日韓、中国はいずれも同国との政治・経済関係の
強化に乗り出している。
ウアリ報道官は、カザフスタンはBRICSの動向を注意深く見守っており、超大国に
よる支配のない「公正で民主的な」世界秩序の促進という理念を支持しているとし
たうえで、トカエフ大統領は国際連合の強力な支持者であり、今後も国連は国際問
題への取り組みと、公正な世界秩序を確立するための主要な国際機関であるべきだ
と信じていると述べた。