ハンガリー閣僚、中国開発銀頭取と提携強化で会談

中国国家開発銀行の譚炯(タン・ジオン)頭取は19日、ハンガリーのマルトン・ナ
ジ経済相およびミハイ・ヴァルガ財相と個別に会談し、中国の融資で実施する共同
プロジェクトおよび今後の二国間金融提携について意見を交わした。ハンガリーは
中国の中東欧諸国に対する国別投資先として最大。資金・ノウハウ・テクノロジー
の東西交流を橋渡しする役割を担いたいと考えている。
会談では、共同プロジェクトの分野としてインフラ、エネルギー、デジタライゼー
ション、Eモビリティなどが挙がった。また、二国間提携の枠組みにおける金融提
携強化についても意見を交換した。
ヴァルガ財相は、中国金融機関からの融資で実施するプロジェクトとして、(1)
ブダペスト・バイパス鉄道V0線の整備(2)ブダペスト国際空港と市中心部を結ぶ
高速鉄道路線の整備(3)ブダペスト—ベオグラード国際鉄道路線の近代化——を
挙げた。(3)は、ギリシャの港を経由して中国製品を西欧へ運ぶ新しい輸送ルー
トを構成する。
中国国家開発銀行は2022年、中東欧における開発プロジェクトに融資することを目
的としてブダペスト事務所を開設した。中国民間銀行最大手の中国工商銀行
(ICBC)も、ハンガリーに支店を設ける可能性がある。金融機関の存在も奏功し、
中国企業の対ハンガリー投資総額は76億ユーロ強に上っている。バッテリーメー
カー3社、EVメーカーの進出計画が記憶に新しいところだ。
ヴァルガ財相は、中国との良好な関係を強調するため、中国の国家開発銀行と輸出
入銀行、中国銀行が今年、ハンガリーのインフラ、エネルギー開発計画などのプロ
ジェクトに総額10億ユーロを融資したことを指摘した。ただ、この事実は7月末に
金融ニュースサイトが、政府債務管理機関AKKの債務データの定期アップデートを
基に報道するまで伏せられていた。変動金利であることや27年に償還期限を迎える
ことを除いて具体的な融資条件は公表されていないが、政府高官が最近明らかにし
たところによると、政府は中国に対し、公表に同意するよう求めたという。
中欧の独立系ニュースサイト「Vスクエア」は、5月の習近平国家主席訪問で、ハン
ガリー政府が10億ユーロよりもずっと多い融資を得ることを期待していたと報じて
いる。欧州連合(EU)が凍結している補助金の穴を埋める算段だったようだ。
なお、ハンガリーは中国からの融資の半分(5億ユーロ)を北マケドニアに貸し付
けると推測されている。今年7月に北マケドニアに融資を約束したものの、ハンガ
リー自身が財政難と戦っており、他に資金源が見当たらないためだ。中国からの融
資を仲介するものとみられている。
北マケドニアのフリスティアン・ミツコスキ首相は、中道右派の民族主義政党マケ
ドニア革命組織・マケドニア国家統一民主党(VMRO-DPMNE)を率い、6月の選挙で
前与党・社会民主同盟(SDSM)を破って政権に就いた。ヴィクトル・オルバン首相
と親しいとされる。
ハンガリーの対中国貿易額は2023年に120億ユーロに上り、EU諸国を除くと国別で
最大の取引相手だ。ハンガリーは21年、外国政府として初めて中国でグリーンパン
ダ債を発行したが、年内に人民元建て国債を発行する方向で中国の金融機関と交渉
中と報じられている。

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